「日本市場に寄り添うヘアアイロンブラシの答え。
ある朝、出荷前の製品を手に取りながら、ふと昔のことを思い出した。 2015年、日本に「ヘアアイロンブラシ」を初めて紹介した頃のことだ。

当時は「これは新しい」「便利そうだ」という反応が多かった。けれど実際には、“どう使う道具なのか”を、まだ誰にもはっきりとは分かっていなかったように思う。
数年後、私たちは日本市場向けに小型のヘアアイロンブラシを開発した。 特別な機能はない。温度設定もシンプル。見た目も控えめ。 ただひとつ、「前髪を整えるその瞬間に、迷いなく手に取れるサイズ感」だけに心血を注いだ。
結果として、この製品は多くの店舗で想像以上に早く受け入れられた。 そこで気づいたのは、日本市場では「多くのことができる」ことよりも、「毎日、迷わず使える」ことの方がずっと大切だということだった。

ヘアアイロンブラシは、特別な日のための魔法ではない。 ごく普通の朝に、自然に手に取られ、日常に溶け込む道具だ。
同じ頃、コードレスタイプにも挑戦した。 当時は性能を追求し、完成度は高かった。しかし、価格と使い勝手が日本市場の感覚と少しだけ噛み合っていなかった。 その経験から学んだのは、「正しい技術」と「市場における正しい選択」は別物であるという厳しい教訓だった。
2018年以降、オンライン市場でヘアアイロンブラシが定着していく様子を見て、確信したことがある。 それは、この市場では「ちょうどいい」が一番強いということだ。 小さくて、軽くて、とにかく扱いやすい。「とかすだけで、整う」。 その一言で説明できる道具こそが、長く愛され続ける。

今でも、新しい製品を見るとき、私はまず想像する。 「これは、日本のどんな朝に使われるのだろうか?」 そこで迷わず選ばれる確信が持てるなら、その製品はきっと日本市場で生き残る。
筆者について
ヘアケアツールのODM開発に携わり、日本市場向け製品開発を中心に経験。